おもしろコラム 3月号
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 戦前日本人の白飯好きはかなりのもので、白米の多色によるビタミンB1欠乏症である脚気の原因が白米の食べすぎであることがわかった後でも日本の軍隊はビタミンB1が含まれているパン食を嫌い、白米の多食を続けていたほどです。 しかし、育ち盛りの子どもにとっては食欲を満たすことが第一。給食で日本人が嫌っていたパンを食べ、評判の悪い脱脂粉乳を飲みました。60年代には脱脂粉乳から本物の牛乳がとって代わられ、給食に出てくるシチューやカレー、フライ、パスタなど洋食が子どもたちの成長とともに広まっていきます。 農林中央金庫が昭和55年(1980)調査した『国民食生活と学校給食』によると、学校給食を食べていた時代に好きだった食べ物は、大人になってからも好きであるとの結果が出ています。学校給食は戦後日本人の味覚や好みも変えていったのかも知れません。●先割れスプーンがお箸の使い方が悪くなった? 戦後の学校給食ではアルマイトの器やスプーンとフォークの両方を特性を備えた先割れスプーンが採用されましたが、これは「最近の子どもがお箸の使い方が下手なのは先割れスプーンのせいだ」とされ、最近では使われなくなってきましたが、はたしてそうなのでしょうか? また70年代にはランチプレート(一枚のお皿に数か所のへこみがあり料理を分けて入れる器)が採用されるようになりましたが、これも「お皿に顔を近づけて食べる犬食いが増える」と指摘されたりしました。学校給食は味覚だけではなく、日本人のマナーにも大きな影響を与えているのかも知れません。●変化する給食 戦後、パンと牛乳を日本に広めた学校給食ですが、昭和51年(1976)から白米食も出されるようになりました。最近では、子どもアレルギー対策や外国人の食文化への配慮など、徐々に給食も変化してきています。(食文化研究家:巨椋修(おぐらおさむ))2020-03

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