おもしろコラム 3月号
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昨年末、カナダで15歳の女の子がボーイフレンドとキスをした直後、ショック状態に陥り亡くなってしまいました。原因はボーイフレンドが直前に食べていたピーナッツバターのサンドウィッチ。女の子はピーナッツアレルギーだったのです。日本でも三人に一人が何らかのアレルギーを持っているといわれています。アレルギーとは、身体に無害なものに対してもウィルスと同じように免疫反応を起してしまうことですが、その中でも怖いと言われているのが食物アレルギーです。どの食物にアレルギー反応を起すかは人それぞれですが、卵、ピーナッツ、そば、肉、魚などのたんぱく質に限られています。この『特定のたんぱく質』が腸から吸収されると、免疫ブログリンと呼ばれる抗体と合体します。そして、これが全身に回ると、肥満細胞や好塩基本細胞らがこのたんぱく質を追い出そうとする反応が起きるのです。この反応により腫れが引き起きるため、蕁麻疹が出たり、気管支の粘膜が腫れ呼吸困難を起したり、最悪の場合ショックに陥り命を落としてしまうのです。また、反応は、30分以内に起こるので、アレルギーの起こる食物を食べてしまった場合は、早急な対応が求められることになります。全ての人が重いアレルギー反応を起すわけではなく、ただ口の周りが痒い、咳が出る、といった軽い症状の場合もあります。しかし、症状が悪化したり、20歳以上でも突然発症するケースが多いので、心当たりがある方は一度検査を受けてみるとよいかも知れません。皮膚テストや血液テストにより、何にアレルギー反応を起すのか分かります。食物アレルギーであることが分かった場合、緊急時に備えて抗ヒスタミン薬などの内服薬を処方してもらうと心強いと思います。アメリカなどでは、アレルギー反応を即効で抑えることが出来るエピネフリン自己注射製剤を処方してもらえますが、残念ながら日本ではまだ承認審査中です。ちなみに、乳幼児の場合腸の吸収力が未熟なため食物アレルギーを起すことがありますが、この場合腸の吸収が発達すれば収まります。しかし、そうでない場合は一生アレルギー反応は起こるので、見極めるのには医師の指示を仰ぐのが必要でしょう。「沢山食べれば慣れて治る」と考える人もいますが、食物アレルギーだからと言って決して甘くみてはいけないのです。(文:JULIE/絵:吉田たつちか)2006-03食物アレルギー

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