TEBRA通信 2020年1月号
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◦エアコンが効かなくなる最も多い原因はエアコン冷媒ガス不足です。密閉されたガ スが漏れることは無いと思われていますが、走行中絶えず振動している車からは配 管接合部分のわずかな隙間からガスが漏れ出ています。車両が古くなれば経年劣化 も進み、その頻度も増加します。しかし、 エアコンガスが不足しても致命的な漏れ や配管の大きな損傷等が無い限りは、エアコンガス補充で冷却性能を回復出来ます。◦エアコンガス漏れはエアコンガス充填で性能回復が行えますが、エアコン心臓 部のコンプレッサー部位、特に電磁クラッチ(マグネットクラッチ)が不具合を起 こすと点検・整備の範囲が広がります。電磁クラッチは、 エアコンをONにすると電 磁石に電流が流れエンジンの動力をベルトを介してコンプレッサーに伝えますが、電 磁クラッチが壊れるとコンプレッサーは回らなくなる(断続出来ない)ため、エア コンから冷風が出ません。 よって、「コンプレッサー ➡ マグネットクラッチ ➡ マグネットクラッチリレー ➡ エアコンアンプ」等の導通点検や部品単体点検を始め、部品脱着や交換作業が必要 となります。 つまり、配線接続確認、部品から部品間までの配線入・出力点検及び端子導通確認、配線艤装作業と大幅にエアコン整備の 範囲が拡大します。1<参考 例1>病状:エアコンが効かない(作動しない) ① ガスを規定量入れるが、コンプレッサー部位のマグネットクラッチが全く作動しない。 ② 外部診断機を使用し、「エアコンアンプECM」と「マグネットクラッチリレー」の作動確認を行うと、部品単体は ON・OFFを繰り返し、問題なし。(故障診断コード表示及び過電圧発生によるフェイルセーフも異常なし) ③「上記①と②」の現状を検討すると、マグネットクラッチ単体の故障か?、又は、マグネットクラッチ~エアコンアンプ ECMまで接続されている配線の点検と確認を行う必要あり。 点検は、配線図にて配線色の確認や通電、スイッチの開閉、アース箇所、カプラ端子のピン数等を行う。<参考 例2>病状:エアコンが全く冷えない(冷風が出ない) ① クーラーガス比重計でエアコンガスを測定するがガスは規定量充填。 ② エアコンスイッチONでクーリングファンは回転しており、エアコンシステムは初期作動状態の様子。 ③ コンプレッサーのマグネットクラッチの作動電源供給を点検するが電源供給が行われていない。 ④ リレーBOX内のマグネットクラッチリレーを外し、BOX内の電源・配線の端子、導通点検を行うが問題なし。 ⑤「上記③&④」点検の結果、リレー単体及びエアコンヒューズを点検すると、マグネットクラッチからの電流過多により ヒューズ切れ。ヒューズ新品交換後、配線図にてエアコンヒューズから経由される制御部等への確認作業が必要。◦本書は、主要国産乗用車(全て旧型)のエアコン配線図を車種別にまとめました。 エアコン配線図は、「オートエアコン(フルオート含む)」、「マニュアルエアコン」 を始め、エアコン制御に関連する「クーリングファン」、「エンジンコントロール」、 「ヒータ」等も収録しました。(一部車種は除く) 電気自動車は、「ヒートポンプ式」と、レシプロ車同様にコンプレッサーで冷媒を圧縮 させる「ヒートポンプレス式」の2パターンを収録しました。 日産車の一部車種は、「IPDM E/R:リレー&ヒューズ一体制御ユニット」部位 の配線図も収録しています。これは、エアコンコンプレッサーリレーやクー リングファンコントロールリレー等の電源出力が「IPDM E/R側」からエアコ ンやクーリングファン側へ配線が接続されているためです。 ※IPDM E/R(例:左図) 上記同様、ダイハツやスズキの車両も、エンジンコントロールコンピュータユニッ ト側からエアコンコンプレッサーやラジエータファンリレーへ配線が接続されてい るため、エンジンコントロール及びアイドリングストップの配線図も収録しました。◦収録車種は、各メーカ主要車種44モデル(5年~10年落ち前後の生産終了車)を抜粋しました。 マイナーチェンジで配線図に大幅変更があった場合、変更前後の「年式区分」を表記しました。(小変更の内容は省略) また、配線図が1頁で収まらない場合は、トップページに「その配線図が何ページ占有するか」を表記しています。 (例:オートA/C:1/4~4/4頁 ➡ オートA/Cは4頁占有するという意味)◦本書「エアコン配線図集・乗用車編 2019年版」シリーズは、年1回発行で今後も継続的に発行を予定しております。 (乗用車編以外に商用貨物・トラック編も予定しております) 又、「配線図集シリーズ」は本書を筆頭に、電子制御のシステム制御毎に分類して今後発行予定でおります。エアコン配線図の必要性について▪本書について▪
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