おもしろコラム 3月号
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で修行をした人や真似た人が全国に、いろいろなラーメンを伝えたといいます。 つまりラーメンは中国から伝わったというより、最初は日本で働く中国人労働者相手に、日本人が中国人の口に合うように中国風日本そばを考案して出したのはじまりであるらしいのです。 また、当時はラーメンという呼び名はなく、中華街のことを南京町と言っていたため「南京そば」と呼び、後に「支那そば」、戦後になると「中華そば」、そして1958年(昭和33年)世界初の即席めんであるチキンラーメンが売り出されるようになり、「ラーメン」という名称が一般的になりました。偉大なりインスタントラーメン! ●スパゲティはラーメンになれるか? うどん、そばは日本に古くからあるものですが、ラーメンは明治時代、スパゲティは昭和の戦後に日本人に親しまれるようになった料理です。 スパゲティは、戦後進駐軍であるアメリカ人たちが軍隊の配給品として食べていたもので、茹でた麺にケチャップを和えたカンタンなものでした。それを日本の料理人が改良し、玉ねぎやピーマン、ハムの細切りなどを炒めて作ったのがナポリタンです。 アメリカ人は麺に髪の毛一本の硬さを残す「アルデンテ」を好みません。そのせいか バブル時代のイタメシブーム以前では、日本でも麺は柔らかめで「アルデンテ」の発想はありませんでした。 しかしなんでも改良してしまうのが日本人! スパゲティはラーメンやカレーと同様、日本の国民食といってもいいほど親しまれ、なんでも改良してしまうのが日本人の手により、たらこ、納豆、醤油などを使った和風スパゲティをどんどん開発。 まだ、さっぽろ味噌ラーメンや九州とんこつラーメンのように全国的に大ヒットするような“ご当地スパゲティ”は出てきていないようですが、そのうち大ブームになるようなスパゲティが生まれるかも? さらにこれから、うどん、そば、ラーメン、スパゲティに新しいアレンジ料理や、また新たな麺類が、麺類の仁義なき戦いに参戦するかも? はたして麺類の仁義なき戦いは、日本人が麺好きである限り、終わることはなさそうです。(食文化研究家 巨椋修(おぐらおさむ))/絵:そねたあゆみ 2017-03

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