おもしろコラム 3月号
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 日本最初のカレーの具はカエル? いまは国民食とさえいわれるカレーライス。日本人の9割は一ヶ月に一食以上カレーを食べており、4割は一週間に一食の割合で食べているそうです。 そんなに愛されているカレーライスですが、いつごろから日本で食べられるようになったのでしょう? 記録によると、最初にカレーを食べたのは後に物理学者となる山川健次郎が明治4年に、アメリカ留学に向かう船中でカレーライスを食べたという記録があります。もっとも山川健次郎がカレーライスを注文したのは、それが唯一の米を使った料理であり、肝心のカレーはすべて残してしまったといいますから、果たして最初に食べたといえるのかどうかは、まあ置いておきましょう。 次に日本史に出てくるのは、明治5年に発売された『西洋料理指南』という書物。この書物にカレーの作り方が出ているのです。 その作り方とは、ネギ、ショウガ、ニンニクを刻んだらバターで炒めた後、水をくわえ、エビやカエルなどを入れてよく煮る。さらにカレー粉を入れて煮込み、塩、水溶き小麦粉を入れるというもの。ここで現代人は“ギョッ”とするのが、具に出てくるカエル。おそらく当時の日本にはカエルを食べる習慣はなかったと思われますから、おそらく明治の日本人もかなりギョッとしたに違いありません。 この『西洋料理指南』がヨーロッパの料理を参考にしたのか、アメリカの料理を参考にしたのか、あるいはやはりカエルを食べる習慣のある中国から来たのかは不明ですが、欧米ではカエルを食べる風習は確かにありますので、おそらくカエルカレーのレシピが、欧米にはあったのでありましょう。ちょっとゲロゲロと思ってしまいますね。 少年よ、大志を抱きつつカレーを食せ! 日本におけるカレーライスの歴史を語る上で忘れてならない人物が、かの「少年よ大志を抱け」というフレーズで有名はクラーク博士です。明治9年、現在の北海道大学である札幌脳学校の初代教頭となったアメリカ人、クラーク博士は、米食に偏見があったらしく学生にご飯を食べることを禁止しました。ただしカレーライスを除いて。 札幌農学校の寮では、パンと肉の日とカレーライスの日が、一日交代であったといいます。そのため、日本にカレーライスを広めたのはクラーク博士という説もあります。このようにして、カレーライスは日本に少しずつ広まっていきました。 北海道にカレーが広まったのは、他にもジャガイモ、タマネギ、西洋ニンジンといった食べ物が、北海道で多く栽培されたこともあったかも知れません。ジャガイモ、タマネギ、西洋ニンジンはいまでこそカレーの野菜に欠かせぬ三種の神器的野菜ですが明治になってから日本で栽培されるようになったもので、明治初期の段階ではまだほとんど食べられていませんでした。カレーの歴史

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